離婚成立までにかかる期間はどのくらいか?
当事者間で離婚やその他の条件がまとまらないため、弁護士に依頼される場合に、そもそも法律上の離婚原因が認められるかという点が一番の問題ですが、実際に離婚が成立するまでにどの程度の期間がかかるのかということも関心事の一つだと思います。
こうした紛争性があるケースで実際に離婚が成立するまでにかかる期間は、個々の事情によるため一概にどの程度の期間かかるかを推し量るのは難しいのですが、一つ言えることは、当たり前ですが、争点が多くなればそれだけ時間がかかるということです。
例えば、財産分与が争点となりやすいのは、婚姻期間が短い夫婦よりも、長い夫婦ですが、長い婚姻生活中に夫婦で築き上げてきた財産が多ければそれだけどう分けるか、いくらが妥当かといった点について、お互いの主張をぶつけ合うことになりやすいため、離婚に至るまでの手続きが長期化しやすいと言えます。
同じく、お子さんがいる夫婦の場合は、いない方の場合に比べ、親権者の指定や、養育費の金額、支払い期間をめぐってお互いの主張がぶつかるケースがあるため、長期化しやすい傾向にあります。
もちろん、夫または妻のどちらかが、相手の要求を争わない場合や、双方とも強く権利を主張しない場合においては、1回か2回の調停期日で離婚の合意が成立することもありますが、調停や裁判といった裁判所の手続きを利用する場合には、お互いに、主張がぶつかっているケースも多いため、1,2回の話し合いでスムーズに合意に至ることはむしろ稀なように思います。
また、離婚すること自体について、相手方が拒否している場合には、最終的には離婚裁判を起こし、裁判官に判決で離婚を認めてもらわなければなりません。
この場合、法律上、調停前置といって、離婚調停で話し合いをしてからでないと、離婚訴訟は原則として起こせないということになっています。
そのため、どうしても相手が離婚を拒否している場合には、当事者同士(弁護士が代理人となる場合も含みます)の話し合い、離婚調停での話し合い、離婚訴訟における判決の獲得といった手続きを踏まなくてはならないことになります。
離婚調停は、東京家庭裁判所の場合には、おおよそ1月に1回の頻度で調停期日が開かれ、当事者双方の言い分が相手方に伝えられ、その場で回答できないことは次回期日に持ち越して話し合いが続いていくこととなります。
そのため、例えば3回の調停期日で合意に達する場合であっても、最低3か月はかかることになります。
同様に、離婚訴訟の場合も、おおよそ1月に1回の頻度で裁判期日が設けられ、一方当事者の主張を聞いて、次回期日に反論を主張するというやり取りが繰り返されるため、短くても半年程度、長ければ1年以上かかるケースもあります。
さらに、離婚訴訟は第一審で家庭裁判所の判決が出たとしても、その後、さらに高等裁判所に控訴することができ、高等裁判所の判決に対してもさらに最高裁判所に上告を申し立てることができますので、頑なに相手が離婚に応じない場合には最高裁判所の判断が出るまで手続きが終了しない場合も考えられます。
もっとも、通常は第一審の家庭裁判所で既に大半の主張や証拠の提出は済んでいるため、高等裁判所での審理期間は、第一審に比べて比較的短期間(5か月程度)で終わるケースが多いといえます。
また、最高裁判所は、上告の要件を満たしていないとして、上告を棄却することがほとんどですが、棄却の判断が出るまでに数か月を要することが通常です。
したがって、離婚自体を相手が拒否している場合や、財産分与などの離婚条件で折り合いがつかないケースでは、最終的な結論が出るまでに1年、2年程度の期間を要する場合もあり得ます。
もっとも、当事者間での争点が財産分与のみであったり、慰謝料の金額のみであったりする場合には、離婚調停で訴訟になった場合の見通しもまじえて話し合いをすることで、比較的短期間で合意に達するというケースもあり得ます。
離婚交渉や訴訟を長期化させることはお互いにとって望ましいことではないと思いつつ、主張すべき権利を認めてもらうため、主張立証を積み上げるため、交渉、訴訟が長期化することがやむを得ない場合もあるかと思います。
こうした相いれない問題にどう対応していくべきかというのは、難しい問題です。